オルソケラトロジーの近視進行抑制効果の可視化
オルソケラトロジーを当院が導入して、今年の1月で満5年が経過しました。現在約90名の方(殆ど学童)が治療を受けられています。
学童期の近視進行抑制治療の第一選択は低濃度アトロピン点眼薬ですが、この治療に抵抗性を示す方が少なからずいらしゃいます。当院ではこのような場合オルソケラトロジーをお勧めしています。元々眼鏡・コンタクトレンズに代わる第三の視力矯正治療として普及していましたが、近年近視進行抑制効果が確認されてからは、世界中で広く普及しました。とは言っても本邦では近視進行抑制目的で認可はされていないので、大きな声では言えないのですが(笑)
下記グラフはその一例です。0.01%点眼で開始し効果認めず(空色の期間)、0.025%点眼に切り替えましたが効果がでませんでした(黄色の期間)。オルソケラトロジーをお勧めし開始した所、近視の進行は著名に抑制されています(ピンクの期間)。
近視は眼軸が伸びることによって生じ、近視が進行する=眼軸長が伸びる という考え方が今では世界のスタンダードで、当院では約14年前から学童の近視はすべて眼軸長を測定し比較して評価してきました。
近年上記のような、時間経過による眼軸長の変化をグラフ化できるソフトが出てきており、当院ではこれを用いて説明しています。グラフ左下にある年間換算変化量は、黄色の印を境に前後一年間の平均の眼軸長の変化量が表されますが、オルソケラトロジー開始前は両眼共年0.8㎜と非常に伸びていたのが開始後は年0.1mm未満になっており、オルソケラトロジーによる著名な近視進行効果がみられます。また点線は何も治療しなかった場合の眼軸長進展の予測値で、グラフからは平均よりも伸びていないことが示されます。このような機器は数種類発売されていますが、日本人学童の平均値とのデータが比較できるのはこのソフトだけであり、これで説明することで患者家族の満足度も高いと感じています。
眼軸が伸びすぎると大人になって網膜剥離や緑内障の発症リスクが高まることは知られており、当院では26㎜未満に抑えることを目標として治療をしています。またスポーツ時に眼鏡が不要なので、当院ではサッカーやバスケットボール、ダンス、ボルタリングやパルクールをしているお子さんたちが口コミで来られています。オルソケラトロジーに興味があり使用を考えている方は ”オルソケラトロジー希望”で電話で予約をとっていただければと存じます。