当院ではお子さんの年齢や近視の程度に応じて、2018年より低濃度アトロピン点眼薬、2019年よりオルソケラトロジーによる近視進行抑制治療を開始しました。 2026年7月現在、次の4種類の治療を組み合わせて行っています。
- 1.低濃度アトロピン点眼薬(リジュセアミニ)
- 2.オルソケラトロジー(オルソK)
- 3.近視進行抑制専用1dayタイプコンタクトレンズ(MiSight - マイサイト)
- 4.近視進行抑制眼鏡(ミオスマート)
院長が子供の頃は眼鏡をかける子がクラスに出現するのは高学年くらい、しかもほんの数人でした。しかし2026年現在、近視は非常に身近な疾患となり、特にこの10年で世界中の子供の近視の特徴が大きく変貌しました。近視が低年齢で発症するようになり、今や世界共通の問題となっています。 日常の診療でも、就学時健診の段階で既に近視がかなり進行しているケースを診ることが増えてきました。 近視のメカニズムについては、下記リンクが判り易いですのでご覧ください。
なぜ、早期の近視進行抑制が必要なのか?
近視が強ければ強いほど、壮年期(大人になってから)の合併症のリスクは高くなります。特に強度近視に伴う黄斑症や緑内障は難治性です。
特に早めの受診をお願いしたいお子さん
近視は6歳から9歳の間が一番進行することが知られています。以下の項目に当てはまる場合は、早めの受診をお勧めします。
- ① 親御さんのどちらかが強い近視である
- ② ご兄弟が既に近視と診断されている
我々が眼科医になった頃は、「近視の進行を抑制すること」は夢物語でした。しかし現在では様々な治療が登場し、近視進行が停止する最終的な着地点を予定よりも軽くすることが可能となっています。
当院における近視進行抑制治療の治療実績(2026年5月時点)
点眼治療(低濃度アトロピン):240人
オルソケラトロジー:115人
多焦点コンタクトレンズ(MiSight等):20人
(注目!)視力や屈折値よりも「眼軸長(眼の長さ)」で効果を判定
2023年には、眼軸長の変化をグラフ化できる最新ソフト(AxialManeger)を導入し、現在約200人強の児童の眼を管理しております。 「変化が可視化されて分かりやすい」と親御さんやご本人からも大変好評をいただいております。結果画面はスマホでの「写メ(写真撮影)」も可能です(笑)。
また、このソフトの使用経験を2025年10月の「広島県小児眼科懇話会」にて院長が発表いたしました。
受診をご希望の方へ
初診は完全予約制です
お子さんの近視の病状と治療については、すべて院長が直接時間をかけてご説明しております。 そのため、誠に恐れ入りますが、近視進行抑制治療の初診に関しましては【完全予約制】とさせていただいております。
特に土曜日の予約が取りにくくご迷惑をおかけしておりますが、火曜日の午後4時半から外来を行う場合もありますので、当院HPの案内をご確認いただけますと幸いです。
来院前にお読みください(大前提のお願い)
近視進行抑制治療は、あくまでも「近視が進むスピードを遅らせる治療」です。近視の進行を完全に停止させたり、一度伸びてしまった眼軸長を短くして「近視を治す(元に戻す)」治療ではありません。現在の医学では、一度進んだ近視は元に戻らないのが事実です。このことをご理解の上、受診していただければと存じます。
当院で提供可能な4つの近視進行抑制治療
1. 点眼液:リジュセアミニ(5歳〜15歳)
・治療のポイント
毎晩1回の点眼です。一時的な副反応として、翌朝に少し眩しさ(羞明)を感じることがあります。当院では、まだ視力は良いものの軽度の近視化が始まっている「前近視」のお子さん(特に上のご兄弟がすでに近視の場合)にも、早期治療としてお勧めしています。
・選定療養について(2026年6月より改定)
令和8年診療報酬改定より、リジュセアを用いた治療は「選定療養」として認められました。これにより、定期的な眼科検査(年2回まで)や診察代は保険適応となり、広島県内の方は乳幼児医療助成制度(こども医療費助成)も併用可能となりました。受診の際は必ず保険証・医療証をご持参ください。 (注) リジュセア点眼液本体は従来通り自費診療(お薬代:1ヶ月分 4,400円・税込)となります。
2. オルソケラトロジー(小学2年生〜)
就寝直前に特殊なハードコンタクトレンズを装用し、睡眠中に角膜の形状を優しく変化させる治療です。朝起きてレンズを外すと、日中を裸眼で快適に過ごせるようになります。副次的効果として、約50%前後の近視進行抑制効果が報告されています。
・治療のポイント
日中裸眼で過ごせるため、スポーツ(特にサッカーなど)をしているお子さんにお勧めです。「ゴールが決まりました!」という報告を聞くと、サッカー大好きな院長も大変嬉しくなります。
・注意点と対象 当院では「小学2年生以上」「適応度数 -4.0Dまで」としております。レンズの着脱や消毒管理には親御さんのサポートが必須です。また、学年が上がり睡眠時間が短くなると、矯正効果が弱まることがあります。
・処方の流れ(計2回のご来院が必要です)
1回目: 院長と担当装具士による説明と適応検査(保険診療)
2回目(木曜午後): 適応検査(自費6,000円)。実際のレンズを1時間体験装用していただき、眼に合わせてカスタマイズしたレンズを注文します。※当院ではレンズの長期お試し・自宅への貸し出しはしておりません。
・費用について
自費診療となります。半年間の診察代+レンズ代を含めて 165,000円(税込) です。 (※レンズはシステム上「貸出」の扱いとなります。装用終了時にはご返却いただきます)
3. 1日使い捨てソフトコンタクトレンズ:MiSight-マイサイト(小学4年生〜)
世界中で高い実績を誇り、日本でも治験を経て正式に近視進行抑制治療専用レンズとして認可された1日タイプの使い捨てソフトコンタクトレンズです。約60%前後という高い近視進行抑制効果が報告されています。
・治療のポイント
オルソケラトロジーが適応外となるような「強い近視」のお子さんでも使用可能です(※強い乱視には適応できません)。1日10時間以上の使用が推奨されます。当院では4年生以上、かつ「本人が自分でレンズの着脱ができること」を必須条件としています。
・注意点と費用
処方にはメーカーの講習受講と認可が必要ですが、当院は2026年5月に講習を修了済です。当院で処方箋を発行し、指定販売店で購入していただきます(検査・診察は保険適応となります)。なお、年間費用としては4つの治療の中で最も高価となります。
4. 近視進行抑制眼鏡:ミオスマート(HOYA社)(年齢制限なし)
海外で先行して高い効果をあげていた「子供の近視進行を抑制する特殊な眼鏡」です。日本でも正式に発売となり、海外で約50%程度の近視進行抑制効果が報告されています。
・治療のポイント
コンタクトレンズが苦手・まだ怖いというお子さんに一番お勧めで、最も簡便な治療です(普通の眼鏡と同じようにかけるだけ)。1日12時間以上の使用が推奨されています。球面等価度数で -10Dの強度近視まで処方可能な点も大きなメリットです。
・処方の流れ(計2回のご来院が必要です)
1回目: 点眼薬による調節麻痺検査を行い、目の緊張をとった「真の近視度数」を精密に測定します(※点眼後は1日中まぶしく、ぼやけます)。
2回目(翌日以降): 再検し、眼鏡処方箋を発行します(ここまでの検査・診察は保険適応となります)。
購入: メーカー指定の眼鏡店で購入していただきます。
・費用について
レンズ代:2枚で 77,000円(税込) +別途フレーム代(1年間の度数変化保証付き)。
院長からのメッセージ
以上が、2026年7月現在における当院での近視進行抑制治療の概要です。上記の内容に予め目を通していただき、事前にご理解を深めていただくことが、受診時のスムーズな診療に繋がります。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
また現在、特に土曜日の予約が取りにくくご迷惑をおかけしておりますが、夏休みなどの長期休暇を利用して「まずは話だけでも聞いてみたい」という動機でのご相談も大歓迎です。親御さんたちの近視に対する理解が深まることが、最終的に地域の子供たちの未来の目を守り、近視を減らすことにつながると信じております。


